研究成果発表:オープンソースの『AI宇宙船ジェネレータ』を開発
画像:生成された宇宙船のビジュアル化
【概要】
アラヤの研究開発部チームリーダーKai Arulkumaran,とリサーチャーRoberto Gallottaが手続き型コンテンツ生成(Procedural Content Generation; PCG)のための新しい進化的アルゴリズム(Evolutionary Algorithms; EA)を開発する研究プロジェクトにてオープンソースの「AI宇宙船ジェネレータ」を開発いたしました。本研究成果をもとに開発されたアルゴリズムは10月27日に宇宙開発ゲーム『Space Engineers』にてスタンドアロンアプリケーションとしてリリースされる予定です。
なお、本研究はチェコの国際的な研究開発企業GoodAI社から資金提供を受けています。
【本研究の背景】
進化からインスピレーションを受けたAIプログラムである進化的アルゴリズム(EA)は、生物学的な進化と同様に、新しい存在を継続的に生成する可能性を持っています。EAは、ビデオゲームのコンテンツを(半)自動生成するPCG手法によく利用されています。
多くのビデオゲームでは、多様なビジュアルやオーディオコンテンツを生成するためにPCGを利用していますが、宇宙船のようなアセットでは、生成されたコンテンツの審美性と機能性の両立が課題でした。GoodAI社の助成を受け、Kai Arulkumaranの主導により進化的計算とコンピュータによる創造性の分野の研究を進め、人間と機械による協調設計への応用によって課題を解決するためのプロジェクトを立ち上げました。
画像:宇宙船を生成するためのコントロールパネル
写真: アラヤの(左)Kai Arulkumaranと(中)Roberto Gallotta、バーナード・カレッジの(右)Lisa Soros
【本研究の内容】
本プロジェクトはArulkumaranの他に、今回のアプリケーションの主要開発者であるアラヤのリサーチャーRoberto Gallottaと、バーナード大学の教育研究員でEA研究の経験が豊富なLisa Soros博士により行われました。
プロジェクトの発足以来、手続き型コンテンツ生成(PCG)のための新規アルゴリズム [1,2,3]を複数開発し、ゲーム開発者やプレイヤーが追加のコーディングを必要とせずに使用できるビジュアルインターフェースを実装してきました。そしてルールベースシステム、PCG手法とEAを組み合わせることで、見た目と機能性を兼ね備えたコンテンツを自動生成するアルゴリズムの開発に成功しました。
本研究により開発されたオープンソースの「AI宇宙船ジェネレータ」は、PCG技術と進化的計算を組み合わせ、初期集団から継続的に新しい宇宙船をコーディングなしで「進化」させることが可能です。進化の各世代で、EAは、ユーザーが修正を行えるようにオプションを提供します。その後、完成した設計図を『Space Engineers』に取り込み、ゲーム内でその宇宙船を操縦することができます。また、ユーザーがこのジェネレータをどのように使うかは、人間とAIとのコラボレーションのダイナミクスをさらに調査する新しい実験的研究の基礎となるでしょう。
【今後の展開】
本研究成果をもとに開発されたアルゴリズムは10月27日に宇宙開発ゲーム『Space Engineers』にてスタンドアロンアプリケーションとしてリリースされる予定です。
URL:https://www.spaceengineersgame.com/
アプリケーションとソースコードは、こちらからダウンロードできます。
10月27日(木)26:00(JST),(19:00, CEST)、Space EngineersのYoutubeチャンネルにてライブ配信を行い、研究者による議論や視聴者からの質問に答える予定です。
【お問い合わせ先】
株式会社アラヤ
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参考文献
[1] Gallotta, R., Arulkumaran, K., & Soros, L. B. (2022). Evolving Spaceships with a Hybrid L-system Constrained Optimisation Evolutionary Algorithm. In Genetic and Evolutionary Computation Conference Companion. https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3520304.3528775
[2] Gallotta, R., Arulkumaran, K., & Soros, L. B. (2022). Surrogate Infeasible Fitness Acquirement FI-2Pop for Procedural Content Generation. In IEEE Conference on Games. https://ieeexplore.ieee.org/document/9893592
[3] Gallotta, R., Arulkumaran, K., & Soros, L. B. (2022). Surrogate Infeasible Fitness Acquirement FI-2Pop for Procedural Content Generation. arXiv preprint arXiv:2210.13839. https://arxiv.org/abs/2210.13839