精密機器部品の欠陥分類へのAI導入

アラヤでは、ディープラーニングを活用した画像認識技術で、お客様のさまざまな業務課題を解決します。
ここでは、精密機器用部品の製造段階における欠陥の分類にAIを導入した事例をご紹介します。

AI導入前の課題

ご依頼いただいた企業様では製造工程で、製品表面の傷や不純物の混入などの欠陥が一定の割合で発生しておりました。歩留まり向上のために欠陥の原因を特定すべく、欠陥を撮影した画像を検査員が目視で分類し、製造工程の改善へつなげていました。

-そこで、次のような課題をお持ちでした。

1.欠陥分類に時間がかかる
欠陥分類の作業は、欠陥の数や位置、大きさなどにより分類する必要があります。一方で、欠陥は大きさが非常に微細で、種類も多様であるため、検査員の目視による分類は非常に困難で、作業に多くの時間を要していました。

2.欠陥分類の結果にばらつきが発生
前述のとおり、目視による作業は困難なため、欠陥の分類結果にばらつきが生じていました。そのため、的確な製造工程へのフィードバックに支障がありました。

AI導入後の効果

上記の課題を解決するため、多種多様な欠陥の画像を事象毎に分類するAIアルゴリズムを導入することで、欠陥分類の精度の大幅改善となり検査工程の効率向上につながりました。

-具体的には、以下のような効果が得られました。

1.所要時間の短縮で検査効率が向上

目視で行っていた欠陥分類作業の大半をAIが代行することにより、分類作業の所要時間の短縮ができました。検査員はAIが分類できなかった少数のみの分類をするのみで済み、検査効率の向上へつながりました。

2.欠陥分類の精度が大幅に向上し、製造工程が改善

AI導入により、撮影された画像の欠陥分類の正解率は96.47% となり、分類精度が大幅に改善されました。これにより、製造工程改善への的確なフィードバックが可能となりました。

AI開発時の工夫点

【工夫点1】画像分類システムで欠陥の仕分けを実施

AI画像分類システム(CNNモデル) により、SEMで撮影された製品表面の画像から欠陥部分をピクセル単位で検出し、欠陥の種類を自動で分類する仕組みとしました。検査員は、AIによる判定確度が低い少数の画像のみを目視で分類をするのみで済むようになりました。

欠陥分類へのAI導入

【工夫点2】分類結果を視覚化しマッピング、検査効率を向上へ

欠陥の位置情報と分類結果を統合し、どういった欠陥がどの場所で発生するのかを視覚化しました。これにより分類検査の効率を大幅に向上させました。
●位置情報と欠陥分類結果を統合
●欠陥のみを写した部分画像が、製品全体の画像のどこにあるかを特定しマッピング