ロボット稼働監視・事故防止への画像認識AI 活用
1. 各業界で広がるロボットの導入
AI・IoTを活用した工程の自動化は、様々な業界で導入が急速に進んでいます。
製造業では、AI、IoTとロボットを活用することで生産性の大幅な向上が期待されています。工場の「スマートファクトリー」化が始まっており、工場内における設備や機器のデータ見える化・自動化に始まり、各種のロボットも活用されてきています。工場で活用されているロボットは、産業用ロボットやAGV(無人搬送車)、AMR(自律型恊働ロボット)などがあります。
運送や小売・流通・サービス業界でも、運搬ロボット、配膳ロボット、Pepperなどのサービスロボットが活用され始めています。
さらに、近未来の「スマートシティ」構想の中でもロボットの活用が期待されています。スマートシティとは、ICTやAIなどの先端技術を活用し、街全体のあらゆる環境やサービス、管理、運営などを自動化・最適化し、人々の生活の質を向上させる取り組みです。
こうしたロボットの稼働状況の改善は、各業界の現場における業務効率化に直結します。
2. ロボット導入による課題
こうしたロボットの導入には大きなメリットがある一方で、人とロボットが恊働する現場では、接触や衝突など人に関わる事故が少なからず発生するなど、いくつかの課題があります。
例えば工場や倉庫では、搬送に従来使われてきた台車やベルトコンベアなどに替わり、AGV(無人搬送車)やAMR(自律型恊働ロボット)を導入する現場が増えています。AGVとは、地面に貼った磁気テープなどの誘導体に沿って、固定されたルートを自動で走行し、製品や部品などを無人で搬送する機能を持つ車両です。また、AMRは、磁気テープなどは不要で、自動でルートを算出し物を運搬するロボットです。
これらAGVやAMRには、運用面で次のような課題が生じています。
課題1:ロボットの接触・衝突事故
AGVやAMRは、作業員や障害物との接触・衝突などが起こりうるため、安全対策が重要視されています。これらにはもちろん制御システムが内蔵されていて、障害物や人を検知すると停止する機能は備わっているものの、直前にならないと機能しなかったり、素早い動作には対応しきれなかったりといった課題があります。
また急停止や急発進は、運搬中の荷崩れ・荷物の落下にもつながります。
課題2:安全な運用を重視することによる非効率化
一方で、安全性を重視しすぎると、ロボットの速度を遅くしたり、危険回避のために何度も停止したりすることで、大きな作業ロスが発生してしまいます。このような非効率化は、AGVの導入数が増えることによる渋滞によっても発生します。
3. ロボットの稼働監視や事故防止をAIで実現
これらの課題に対し、アラヤの画像認識AI技術を結集した「ロボット稼働監視システム」を導入することで、ロボットによる事故の防止や、ロボットのより効率的な稼働を実現します。
ロボット稼働監視システムの特長
アラヤのロボット稼働監視システムの機能・特長には次のようなものがあります。
ロボットの接触・衝突・逸脱を予防
定点カメラから、ロボットや人の動きを常時モニタリングします。ロボットが人や障害物などと接触しそうとAIが判断すると、速度低減や停止の指示を出すことができます。また、ロボットの本来のルートから逸脱した場合も、検知し停止の指示を出します。
複数台のカメラを連携することで、広い敷地や死角が多い複雑なエリアにも対応
複数台のカメラを連携することが可能なため、あるカメラの画角から出て次のカメラの画角に入った場合、同一のロボット/人であることを特定し、トラッキングします。そのため、1つのカメラで監視しきれない広さの工場や、棚などにより死角が多い倉庫などにも対応が可能です。
人とロボットの連携を強化
人とロボットの動きをトラッキングし続けるため、例えば人が組立作業を完了しそうであることを検知したら、運搬ロボットが自動で受け取りに行くような連携も可能になります。これにより、製造工程における時間的ロスを削減することができます。
ロボット稼働監視システムの仕組み
アラヤのロボット稼働監視システムの仕組みについてご紹介します。
まず、ロボットが稼働する敷地内にある監視カメラを活用します。また、死角が出てしまう場合は、追加で定点カメラの設置を行います。
画像認識AIが、それぞれのカメラからの情報より、ロボットや人を認識し、マップ上の位置を特定します。それぞれの位置を連続して把握することで、ロボットや人の進行方向や速度をモニタリングします。これにより、ロボットのルートの逸脱や、障害物や作業員との衝突危険性を早期に検知します。
これらAIで予知した結果をロボットや制御機器に連携することで、過剰な停止を抑えながら接触・衝突事故を回避します。
デモ動画:ロボットと人の衝突予知
以下の動画は、人とロボットの衝突予知のデモです。
人とロボットに四角い枠が付いているのは、それぞれをAIが検知している様子です。
右下のマップ上に、それぞれの位置・進行方向・速度がベクトルで示されています。
この先でロボットと人が接触しそうな状況とAIが判断する(デモ動画上は接触しそうな人の枠が赤色になる)と、ロボットに速度低減や停止の指示を送ることができます。
工場や倉庫内では、「AGV(無人搬送車)」「AMR(自律型恊働ロボット)」などの車両と人との接触を予知し、アラームで警告、事故の危険回避を可能にします。
4. めとめ
この記事では、スマートファクトリーやスマートシティなどで活躍が期待されるAGV、AMR、サービスロボットなどの導入リスクや、AIによる安全管理・稼働効率化について解説しました。アラヤでは、ロボットを活用する現場への画像認識を始めとしたAI技術導入をサポートします。お気軽にご相談ください。